円高が進んでます
アメリカのサブプライムローンの破綻によるリーマンショックから始まった円高が数年経過した現在も進行中です。 今年3月の東日本大震災直後に過去最高値を更新しましたが、先日さらに最高値を更新し、一時は1ドル75円台に突入しました。 日本の円の価値は市場での取引により決まる変動相場制なのですが、円の価値が上がる円高は日本にとって悪いことなのでしょうか。 基本的にはどの国も自国の通貨安を望んでいます。 なぜなら、自国の通貨が安くなると海外へ商品を輸出する際に値段を下げることができ、価格競争で大きな武器を手に入れることができるからです。 アメリカを例に考えてみると、1ドル100円の頃に日本で100円で売ってた商品があるとして、現在の1ドル76円になった場合は24円値引きして0.76ドルで売ることが出来る訳です。 アメリカの企業としては1ドルを得るのが目的であり、円安の頃は100円を稼がないと1ドルにならなかったのに、現在の円高だと76円稼げば1ドルになるという、実にシンプルな話です。 どの国も国内の内需よりも世界を相手にした外需を重視しますので、その場合は自国の通貨が安い方が有利になるという訳です。 逆に見れば、今回の円高は日本には不利ですがアメリカなどは歓迎しており、ドル安に対して黙認しているのが現実なのですね。 また、自国の通貨が安くなると海外から輸入される製品の値段が上がりますので自国の企業を保護できるというメリットもあります。 もちろん自国の通貨が高くなることによるメリットもあります。 輸入する場合に安い金額で取引できるので有利になるし、海外の企業を買収する際にも円高の方が安く買収できる事になります。 ただし一般論では有利・不利を踏まえた上で、トータル的には自国の通貨が安いほうが得だとされています。 現在の円高は日本が評価されている訳ではなく、ドルが弱いのが原因という消去法的な円高ですが、日本の国債(負債)は日本の銀行が買っているので信用不安がないというのも理由になっています。 ただし、日本の負債はアメリカを上回る額に膨れ上がっていますし、今日ムーディーズにより日本国債の格下げもなされたように実質円は強くないのだと思います。 今は円が過大評価されていますが、近いうちに日本売りが始まると専門家の間では予想されています。 それがいつからかは分かりませんが、イギリスのポンドが220円から130円になったように、円の価値がいつ下がるかはこれからの見物かもしれませんね。